これだけの話

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 そんなこんなで、やっと見つけたのがそのホテルだった。名前は覚えてない。英語表記ではなく、現地語の表記だったせいだろう。  そのホテルも最初、空きはないと断られた。しかし、これちも探すのにいい加減疲れていて、どうしてもと粘って頼み込んだ。すると、一室だけ特別な部屋があると言う。値段が高いのかと聞いてみると、これが十分予算に収まるものだったので、すぐさまそこに決めた。  部屋は凝った内装ではなかったけど、ちゃんと掃除もされていて清潔だった。今思えば、客が使った気配みたいものはなかったかもしれない。モデルルームとでも言うのか。いつでも使えるようにされてるが、実際には誰も住んでない物件だ。  でも、その時は本当に疲れていたし、とにかく空腹と睡眠がどうにか出来て、後は荷物が盗まれなければ私は良かった。  そして、そのお婆さんが部屋にやって来たのは、私がベットでうとうとしていた時だった。夕食も済ませて後は寝るだけという時だ。ドアが乱暴にノックされたかと思うと、ドアが開けられて、見たこともないお婆さんが入ってきた。彼女はベットまで来ると何か喚き始める。本当に驚いた。     
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