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話した結果、お婆さんはスタッフでもなんでもなくて、そこがホテルに改装される前に住んでた人だとわかった。でも、なぜそこに泊まるのがダメなのかはよくわかならない。とにかくダメの一点張りだった。
間に入っていた若いスタッフも通訳に疲れてきたのか、彼女も私と一緒になってお婆さんを説得し出した。結局は一晩だけ条件付きで泊めてくれる事になった。
条件として「夜中に少女が部屋を訪ねてくるけど、ちゃんと部屋に入れてあげてくれ」という。そう、部屋に入れないんじゃなくて、必ず部屋に入れるということだった。
「その少女を部屋に入れたら、私は寝てていいんですか?」
「そうみたいです」
「その子は後は勝手に部屋から出ていくんですか? 彼女は鍵を閉めていってくれますか?」
若いスタッフはお婆さんの返事がよく理解できなかったらしく、何度か質問し返していた。
「私も確かじゃないんですが、とにかく少女が訪ねて来たら必ず部屋に入れてあげてと言ってます」
「そうですか、わかりました。そうすればこの部屋に泊まってもいいんですね」
「はい、彼女はそう言ってます」
お婆さんが私をじっと睨んでたから、彼女の目を見て頷いた。そしたら納得したようで、ようやく若いスタッフと一緒に部屋から出て行ってくれた。
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