第六章

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「見つかっちゃったか」 呟きながら研修室に入室する。もとから隠れるつもりはあまりなかったんだけれども。 新入りが振り返る。慌てた様子で紙の束を捲り、立ち上がる。 「あなたがサクラさんなんですね。はじめまして、この度こちらで働かせていただきます。ナオと申します。私、まだまだ世間知らずで至らない部分もあるかと思いますがどうか」 「ちょ、ちょっとそういうのいいから!!本当にクソ真面目だわ……。」 「こちらの仙人様からサクラさんは素晴らしい先輩だとお聞きしまして、ぜひ色々とご教授願いたく」 「ああ、もうそれ!!その堅っ苦しいのいいから!!とにかくよろしく!!」 「はい!!よろしくお願いいたします」 深々と頭を下げる新入りのつむじを眺め、これは確かに面白いわ、と久々に心が浮き立つ。 少年特有の華奢な体と顔つきから自分と同年代だろうと察した。ということは……。 こんな若さで亡くなって死神に立候補するようなヤツだ。穏やかな表情の下に抱えている爆弾がきっとある。
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