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「な、なに…」
余りにも近すぎる少年の距離にルナは身を牽きながら尋ねた。
「苦しくない」
「も、もう大丈夫っ…」
「ほんとに? でも…息がなんだか荒いみたいだよ…」
「──やっ!?…」
胸に伸びてきた手にルナは驚いて声を上げかけた。その口を咄嗟に少年の手が塞いでいる。
「静かにしといたほうがいいと思うよ──…」
「──……」
「こんな社交場で大声出すと君のほうが恥ずかしい目で見られるだけだから…ね」
「……っ!?…」
間近で見つめる瞳がギラギラと揺れている──
少年は胸の白いハンカチーフを取り出すとルナの口をそれで縛った。
「ふ…っ…んっ!…」
ソファに倒されて上に乗られ、ルナは細い両腕で必死に抵抗する。
やだっ──…っ
やだ……っ
ルナはもがきながら胸を揉まれて思いきり首を振っていた。
荒々しい息を吐き、胸元に唇を押し付けられるルナの首に飾った石が鈍い光りを放つ。
「───……」
異変に気付いたグレイははっと婦人に重ねていた唇を浮かせていた。
ルナは少年を涙目で睨みながら強い抵抗を無我夢中で続ける。
胸元を這う温い舌が気持ち悪い。胸に触れて服の上から鷲掴む手の動きも痛くて耐えられない。
ルナは少年のすべてを拒否するように強く目を閉じていた。
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