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姿を霧に変えて飛行する闇の主。その怒りが伝わりリドリーの背筋は急にビリビリと痺れ鳥肌が立っていた。
リドリーはルナに股がったままガクガクと震える少年の額に無言で手をかざした。
くたりと操り人形の糸が切れたように少年はソファから床に崩れ落ちる。
ルナは思わず怯えていた。
「し、死んじゃっ…」
「眠らせただけだから」
リドリーは言いながらルナを抱き起こした。
「行こう──」
「え…っ!?…どこに…」
細く小柄なくせにルナを軽く抱き抱える。
そんなリドリーにルナは狼狽えながら聞き返した。
「気づかれたみたいだ。とにかく連れていく──…」
「──……っ」
何処かしら切羽詰まったリドリーを赤い顔で見つめながら、ルナは急にふわりと浮いた身体に驚いて小さな悲鳴を上げていた。
リドリーはルナを抱き上げたまま浮游すると、割れた窓ガラスから飛び出し一気に加速して暗闇の空へ飛んでいく。
ルナはその速さに驚いて声も出せず、リドリーにしがみついていた。
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