16章 舞踏会

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・ 「ルナっ…」 俺を裏切るならお前はっ… グレイは一点を見据え、険しい表情を変えぬままルナの刻印の気配を探り続けた。 「きゃっ…」 「おっと…大丈夫?」 ふかふかとした感触の足元にフラ付いたルナの手を取り、リドリーはそのまま抱き締めながらルナを押し倒していた。 リドリーに連れて来られた巨大な樹の朽ちた切り株。 何者かによってなぎ倒されたのか上の方が折れている。 切断された切り株の真ん中は大きく深く抉れ、枯れ葉がクッション変わりになるほどに溜まっていた。 ぱさりと仰向けに倒れたルナの頬に、風圧で舞い上がった枯れ葉のカスがひらりと落ちる。 リドリーはそれを優しく払うとそのまま頬にキスをした。 ルナは抵抗一つもせずにされるがままだ── 嫌じゃない この人に触れられるのは全然嫌じゃない── ルナは覗き込んで微笑むリドリーを頬を染めて見つめ返す。 グレイの元を離れてもルナに行き場所は何処にもない── たとえグレイを想う気持ちがあったとしても、あんなに冷たくて意地悪なら一緒にいても幸せなんて感じない。 それこそただの餌 そしてただ、抱かれるだけ── “僕のところへ──…” 「……っ…」 ルナは優しすぎるリドリーを見つめながら急にグレイのことを思い出していた。
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