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だがリドリーはあの日──
グレイの邸から逃げ出し森で出逢ったルナの血を獲た。
あのグレイが婚約者としてまで傍に置いたルナの血を…。
その血のお陰でリドリーは一気に力を蓄えた。
あと一息。
魔物として成熟するにはあと一息の人間の血を吸血すれば、リドリーは一人前の魔物となり、自分の力で人間界にて狩りができる。
だが、ルナのほんの数敵の血さえあればもう他の人間の餌は要らない──
リドリーはルナの刻印の真上に手をかざした──
「………っ!?…あっ…熱いっ…何っ!?…痛っ」
赤くうっすらと浮いたルナの額の刻印がじりじりと熱を持ち、黒く焼け焦げていく──
「いやっ止めてっ!?痛いっ…」
焼ける痛みに額を庇おうと身悶えるルナの手を押さえ、リドリーはその刻印に手をかざし続けた。
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