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「もう少しだから……っ…」
リドリーの額にもうっすらと焦りが滲む──
ついさっき、ルナの血を軽く口にした。その量がどれだけの力を自分に与えたかはまだわからない。
闇の主の刻んだこの刻印を消し去る事ができるだろうか──
もしできたなら…
あのくらいの量でそれが出来たなら──
普通にルナから吸血行為を行えばあの闇の主もを凌ぐ程の力を手にできるかも知れない──
ルナは痛みに涙を滲ませる。
「あと少し…っ…」
そう言って繰り返し口にするリドリーの手の下で、ルナに刻まれた刻印が火傷のように火脹れてただれると、それは急に熱を消し真っ黒なただの煤(すす)と成り変わった。
「はあ…っ…──やった…」
ルナの額を見つめるリドリーの目が爛と光をえる。
グレイの刻印を消すことができた──
それは自分がその闇の主に並ぶ力を得た証拠でもあったからだ。
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