16章 舞踏会

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・ 「何のための補整下着か考えろ…」 「……っ…」 ルナの両肩にぽんと手を預け横から顔を見せると鏡越しに覗き込む。 むっとして肩の手を払おうとするルナの胸元にグレイはいきなり手を入れていた。 「やっ!?」 乳房を通り過ぎ、胸の下の僅かな肉を手繰り寄せてグレイはビスチェのカップに集めていく。 暴れるルナを押さえ付けてグレイは手早い仕草でそれを繰り返した。 「見てみろ──…少しは“胸”になっただろう…これが補…」 「わかったから出て行ってよっ」 ルナはグレイの胸を押し、ムキになって怒鳴っていた。 グレイは呆れたように無言でそんなルナに肩を竦める。 相変わらず胸についてからかってくる。ルナは出ていったグレイに肩で息を切らしながらハッとため息を強く吐いて姿見に目を向けた。 「………」 ルナはほんのりと頬を染める。ほんとに申し訳ない程度だが、確かにそこには“胸”と言える柔らかな膨らみがビスチェの隙間を埋めていた。 「すごい…っ…」 単純だと思ったが純粋に嬉しい。 グレイが抱いて回る婦人達とは比べ物にならないが、胸元にできた白い二つの膨らみは舞踏会仕様のドレスを形よく見せてくれていた。
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