なでしこ達の憂鬱

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「見た目ほど強くないのにね」 張り詰めた空気が和らいで、盛大に落ち込む凪を慰める。 フロアの仕事で一緒になってみて、最初は常に強気な女性かと思っていたが、些細なミスで自己嫌悪している彼女は正しく普通の“女の子”に見えた。 「……そういう見透かされるような優しさも苦手」 イタリアやフランスでモデルとして女優として長い間仕事をしていた凪は、日本の繊細な女性らしさを欠きつつある事を自身でも危惧(きぐ)していた。 人となかなか上手く関われないけれど、言いたいことは言ってしまう。 本当は思慮深いのに何故か周りからはそう見られ難い。 (どことなく彼とも似てるんだよね……) キッチンにいる勤勉なプラチナブロンドを思い出して、怜太郎は口元を緩ませた。     
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