1529人が本棚に入れています
本棚に追加
海外生活が長かったからという理由も半分くらいはあるけれど、凪は昔から正直に何でも人に言うタイプだった。
ズケズケとものを言う彼女は、今でも敵が多い。
その人の為を思っての発言なのだけれど。
「でも謝れないです。嘘じゃないですから」
葛西の様子を見に来た朝陽は、凪から預かった『生理痛に良く効く薬』を差し出した。
フォローも兼ねて。
「いただきますけどお礼は……」
「言いたくなったらでいいよ」
コップに水を入れて薬まで持ってきてくれたのは良いが、誰と顔を合わせるのも恥ずかしくて死にたいと思っていたのに。しかし朝陽は、男性でもぎこちなく意識する素振りは無かった。
むしろ落ち着いてしまう。
自然体だから、かも知れない。
「まだ充分時間あるし、イチやオーナーでも葛西ほど上手くないけど生地は作れるから、時間気にしないで休んでな」
「……はい」
パン作りのブランジェは立ち仕事だし、体力勝負だ。
まだ皆の前で話されたショックと、『嫌い』の単語を口にしてしまった事に葛西自身もダメージを受けていた。
「あ、そうだ。いいもの持ってた」
最初のコメントを投稿しよう!