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十一月末日。
仕事帰りに寄った横長な造りのその店は、コンクリートの打ちっぱなしで外観に窓は無く、中の雰囲気は見えない。
白熱灯のスポットライトに照らされた入口には“OPEN”というドアサインプレートが掛かっている。
看板はひとつ、金色のプレートに黒い文字で『GALAPAGOS』と書かれているだけだ。
「ガラパゴス……」
呟いて、イチから聞いたバーの店名に間違いないと意を決してドアを開けようとして、客が出てきたところに怜太郎が顔を出した。
「あれっ日比野さん、いらっしゃい」
「どうも、今晩は」
つい日中もアグレアーブルで顔を合わせていたので変な感じだが、躊躇う間も持たせずに怜太郎は高之を店内の一番奥のカウンター席へ誘導した。
カウンター席が多く、テーブル席は二組分だけだ。
コンクリートの天井にスライド式のスポットライト型電球がいくつか取り付けられて、カウンター背面の酒棚には品揃えも見栄えよく並んでいる。
SEをしていた頃にはよくこういうバーにも足を運んだものだが、そういえば最近では久しかったな、と思い出す。
「こらこら、他店の視察って感じ出し過ぎ」
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