第1章

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「ちょっと、やめてよ。ボケてるのそっちじゃん」 恵吾の手を払い除けながら云った。 「はい、はい。わかった、わかった。早く帰ろうぜ」 そう云って恵吾は歩き出す。 「待ってよ。」 なんとなく、腑に落ちない気持ちのまま、恵吾を追いかけた。       5 一週間後、期末試験。それもなんとか終わることができた。恵吾と柚季はなんなく赤点なしで、クリア。わたしはというと、例によって・・・・、数学、英語、科学をおとした。、で、さっそく担任であり、英語を担当している藤本先生に呼び出された。職員室に入り藤本先生の所に行くと、先生は笑顔で、おもむろに 英語の原書、(ペーパーバックというのだろうか?)を出した。タイトルと著者名は、“Under The Dom”“Stephen King”と書いてある。(なに、これ?)って、目で藤本先生を見ると、先生は笑顔を崩さないまま、 「これを、夏休み中に全文訳してきてね。もちろん、翻訳版をそのまま書き写してきちゃだめよ。すぐにわかるから」 「そんな・・・・・・」 あんまりです!わたしは心の中で叫んだ。実際、ホントに悲鳴を上げたかった。こんなの夏休み中どころか、一生掛ってもわたしには無理!こんなの訳せるくらいなら、英語で赤点なんか取りません! わたしは涙目になって、藤本先生を見つめた。 「なに、面白い顔してるの?冗談よ、冗談」 よかったぁ・・・、ん?面白い顔?ヒドイ!あんまりです! 「夏休み中、このテキストをやってくるように。わかった?」 藤本先生はわたしに英語の問題集を手渡した。でも、これも難しそう・・・・・。 「はい」
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