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「ちょ、ちょと!恵吾!」
スマホを机に放り投げるとベッドにうつ伏せに寝転んび、枕を顔の下に入れて、顎をの乗せた。
「なんなのよ、もう・・・」
気になって寝られないじゃん!
「そうだ!」
声とともに勢いよくベッドから身を起こした。お母さんの部屋に行ってみよう。前、神隠しにあってた時、お母さんの部屋でわたしには身に憶えのない写真をみつけたんだ。もし、今までのことが夢じゃなかったら、きっと部屋のどこかにあるはず。
しかし、その期待はお母さんの部屋を開けて電気を点けた瞬間、絶望に変わった。部屋の中は10年以上、誰も使ったような形跡がなかった。わたしの記憶ではグリーンのカーペットが敷かれていた床は板がむきだしになっていて、ホコリも薄っすらと積もっている。ベッドや机もなく、段ボール箱がいくつも置かれて、すっかり物置になっていた。
散々、探し回ったけれど、あの写真は見つからなかった。
他になにか・・・・・アルバム!お父さんなら持ってるはず!
「お父さん!ちょっといい?!」
お父さんの部屋に返事も待たず、扉を開け、詰め寄った。
「な、なんだよ、寝てたんじゃ名井のか?」
「アルバム、見せて!」
「アルバム?」
「そう、、お母さんが写ってるヤツ!」
「急になに?」
「いいから!」
「わ、わかった、確か、この辺に・・・・」
部屋の本棚から一冊のアルバムを取り、渡してくれた。わたしはページを捲る。
「あれ?」
写真を見て唖然となった。
「ねえ、お母さんって、どの人?」
「なに云ってんだよ、この人だよ、前にも見せたろ」
一人の女性を指差して云った。
「え?」
この人が?
「間違いないの?」
「は?間違うわけないだろ、正真正銘、この人がお前のお母さんだ」
でも、この人って・・・・。まるで・・・
「お父さん、これ、ちょっと借りるね!」
わたしはアルバムを持って、部屋を出た。
「お、おい、どこ、行くんだ?」
「恵吾家、行ってくる!」
「おいおい、もう深夜だぞ?!」
わたしはお父さんの言葉を無視して、玄関を飛び出した。
6
「こんばんわ!」
深夜なんてこと今は気にしてられない!恵吾の家のピンポンを押した。ややあって、引き戸の摺りガラス越しに電気が付くのが分かった。「はいはい」という女性の声が聞こえ、磨りガラスの向こうに人影が現れた。おばさんのようだ。
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