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引き戸がガラガラと音を立て、開いた。おばさんは今まで眠っていたのだろう、パジャマにカーデガン姿だった。眠そうな目がわたしを見て見開かれる。
「真琴ちゃん?!どうしたの、こんなに夜、遅く?!」
「夜分、恐れ入ります!恵吾、いますか?!」
「えっ、ええ、いるけど、もう、寝てるんじゃ・・・・・」
「失礼します!」
おばさんが云い終わらないうちに強引に中に入った。
「ちょ、ちょっと!真琴ちゃん!」
おばさんの声を背にわたしは2階に続く階段を上がった。
「恵吾、開けるよ!」
恵吾の部屋の前に着くと、中に呼びかけ、ドアノブを掴み、捻る。鍵は掛かっていなかった。
扉を引き開ける。
「よう、来たか」
寝ていたら叩き起こしてやろうと思ってたけれど、予想に反して恵吾は起きていた。
部屋の奥、窓際の勉強机の椅子をこちら側に向けて、座っていた。指にはは火の点いたタバコを挟んでいる。いつもなら注意する所だけど今はゆるそう。
「恵吾!これ見て!」
わたしは抱えていたアルバムを広げて恵吾の目の前に突き出した。
「まあ、待て。コーラ飲めよ」
落ち着いた口調でタバコをもみ消すと。ペットボトルを差し出した。
「あ!あのね!」
恵吾が妙に落ち着いているのを見て無性に腹が立った。
「落ち着けって、な?」
「わ、わかったわよ・・・・・」
わたしは仏頂面でペットボトル引っ手繰ると、一気に煽った。、ためだろう、思いっきり、むせた。
炭酸が鼻に入って痛い。涙が滲む。
「大丈夫か?」
「う、うん、だいじょう・・ぶ」
わたしは涙を拭いながら云った。
「よし、じゃあ行くか」
椅子から立ち上がった恵吾に驚いて顔を向けた。
「ど、どこに?」
「玉藻神社だ」
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