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「よしてくださいよ、そんなんじゃないっスよ!」
「誰が、こんなヤツ!」
わたし達はほとんど同時に云った。
「じゃあ、わたしは先行くからね」
早河先輩は、歩み去って行った。
「早河先輩、可愛いよなあ。なあ、おい!早河先輩って彼氏、居んのか?」
「さあ!居ないんじゃない?」
わたしはぶっきらぼうに答えた。なんか、ムカツク・・・。なんだか無性に腹が立った。〝何よ!わたしが、居るのに!゛
「アンタには、高嶺の花!早く行くよ!」
不機嫌な口調で云うと先に歩きだした。
「何、怒ってんだよ、おい!待てよ」
恵吾が後から、追いかけて来る。わたしは振り向きもせずに速足で歩く。とにかく、腹が立った。その理由は、・・・・やきもちだ。わたしは彼、高杉恵吾に片想いをしている。いつからだったかはわからないけど、気づいたら彼に特別な感情を抱いていた。それなのに、彼はわたしのことを全然、女扱いしていない。それが腹立だしく、そして・・・・・なんだか切ない。彼はそんなわたしのことに気づいているのだろうか?知りたい、でも、知るのが少し怖い気もする。もし、彼がわたしのことを、なんとも思ってなかったらと思うと、とても怖くて聞けない。
*
わたしの名前は姫川真琴。高校1年文芸部に所属している、恋多き乙女である。乙女と云わせて欲しい。でもほんとは片想いまっしぐらなのだけれど・・・・。でも、負けない、負けたくない!だって、自分で云うのもなんだけど、顔はけっこう、可愛い方だと思うし、身体もスレンダーでスタイルもいい、と思う。中学の頃までは女子サッカー部に所属していたから、髪形はずっとショートヘアだけど。でも似合ってると思う。多分。
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