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そうだった。来週の月曜から、期末試験だった。期末が終わると、あとは夏休みだけど、わたしは、数学と英語、科学が苦手で、それで、もし、赤点を取ったら、夏休みは補習か宿題だ。気合いを入れて勉強しないと!恵吾に教えて貰おうかな?アイツ、けっこう、頭いいし、ああみえて、、全教科赤点取ったことないんだよね恵吾のヤツ。柚季と昇降口に向かうと、そこに恵吾がいた。恵吾もちょうど今から、帰るようだった。すぐに、まずいと思った。今は恵吾と柚季を合わせたくないからだ。
「よう、真琴、一緒に帰ろうぜ。谷村さんもよかったら、一緒に帰る?」
「恵吾、部活は、休み?」
わたしは話に割り込んだ。恵吾はサッカー部に所属している。
「期末前だから、休みに決まってるだろ」
「そっか、そうだよね・・・・」
「真琴、なんか変だぞ。大丈夫か?」
「な、なにが?全然平気だよ」
「それなら、いいけどよ。とにかく帰ろうぜ」
「うん、」
三人揃って、昇降口を出て歩きだす。
「あのさあ・・・・」
恵吾に、話し掛けようとするのを柚季が遮るように話しだした。
「ねえ、高杉くんって、好きな人・・・いるのかな?」
来た!ハラハラしてくる。
「俺?そうだなぁ・・・。」
恵吾はわたしをチラっと横目で見る。(なんで、わたしを見るの?)
「・・・・・・いないよ」
「そうなんだぁ、じゃあ、どんなコがタイプ?」
「そうだなぁ・・・、料理がうまくて、」
グサッ!言葉が胸に突き刺さる。わたしは、目玉焼きも作れない・・・・。
「優しくて・・・」
グサッ!わたしは、どちらかというと、勝気で乱暴な方だ。
「おしとやかで・・・・・、」
グサッ!グサッ!グサッ!
「ロングヘアのコかなぁ」
グサアアアアアアアア・・・・・・・。わたしと、全然違うタイプじゃん・・・・・・。段々腹立って来た。ええ!そうでしょうよ!わたしなんか、眼中にもないってことなのね!
「わたし、先、帰るから!」
「お、おい、真琴!」
「真琴・・・・」
二人が声を掛けるのも無視して、わたしはスタスタ速足で歩いて行く。
(なによ!なによ!なによ!)
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