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「茶々」
ご主人様の優しい声と喉に感じる心地良い刺激に私は目を覚ました。
前脚を伸ばす。
「にゃ~ぉ」
お帰りなさいにゃ。私はご主人様の足首に頭をすりつける。
「今日は茶々の誕生日だったね」
その言葉に私の耳はピクリと反応する。尻尾も一瞬ふわりとたつ。
たんじょうび。
聞き覚えがあるにゃよ。
そうにゃ! その時はご主人様が凄く優しくなる日にゃ!
私はうにゃうにゃと喜びを表すようにご主人様に甘える。
「茶々にもわかるのかな?
ほら、買ってきたよ」
ご主人様がカパリと何かを開けると、うにゃ~たまらん香りにゃ!
これは確か柔らかくてジューシーな食べ物だったはずにゃ! いつものカリカリじゃないヤツにゃ!
ご主人様がご飯皿に入れるのを待ちきれずに、私はご主人様の周りをぐるぐると回る。もちろん目線はご主人様の手にある美味しそうな物に釘付け。
「嬉しいのか? 良かった。
ほら! たくさんお食べ」
「なぁ~ご」
私はたんじょうびとやらにしか食べれないこの美味しい物を夢中で咀嚼する。
あ~、美味しいにゃあ。
「茶々ももう5歳か。あんなに小さかったのに、もう今じゃすっかりブーちゃんだもんなあ」
食べ終わって舌舐めずりをした私を、ご主人様がよっ!っとかけ声をかけながら抱き上げた。
「まあ、幸せ太りだよな?」
ご主人様が私の頬に頬を寄せる。私は嬉しくなってその頬にすりすりとした。
幸せにゃ~よ、私。
「誕生日、おめでとう、茶々。これからも長生きしておくれよ?」
今度は私の頭に顎を乗せてご主人様は言った。
「にゃう」
長生きすればまたあの美味しいのくれるのかにゃあ。そしたらするにゃよ!
「大好きだよ、茶々!」
ご主人様の言葉に私は歓喜する。
「なぁーご」
私も大好きにゃ! そして、たんじょうびってのも大好きにゃ!
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