1537人が本棚に入れています
本棚に追加
「わ、わゎ!!」
「ちひろ!」
バランスを崩したちひろの体を、瑞樹が慌てて抱き止めて内側へ引き寄せる。
ちひろの体と頭を抱えたまま、瑞樹が背中から倒れ込んだ。
「……ってぇ……」
「み、みみみみ瑞樹くん!?」
瑞樹の腕に守られたまま、ちひろは慌てて顔を上げた。
恐怖と焦りで心臓がけたたましく鳴り始める。
「だ、だだだだだ大丈夫!?どこか怪我を……!?」
「いいからどけろ、重い……」
ちひろは慌てて瑞樹から飛び退くと、直ぐ様土下座した。
「ごめんなさいごめんなさい!!危うく落ちる所でした!」
「ほんと勘弁しろよ……マジで焦った……」
「ご、ごめんなさい!手、てててて手を握るのが恥ずかしくなって、その……ほんとごめんなさい!」
瑞樹は呆れながら起き上がると、ベシッとちひろの頭に容赦なくチョップした。
「あだ!!」
「手握るの恥ずかしいとか小学生かよ。今さら俺に照れんな、気持ち悪い」
「か、返す言葉もありません……」
「ったく、これでまた目覚めた。やり直し。とりあえず合鍵渡すから、お前玄関から帰れよ」
「は、はい………」
呆れる瑞樹に、ちひろは消えてしまいたくなるほど恥ずかしくなった。
そのせいなのか、何なのか、未だに胸がドキドキと世話しなく鳴っていた。
その原因は何か。
ちひろにはまだまだよくわからなかった。
最初のコメントを投稿しよう!