ヒトはそれを命と呼ぶ

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「シェイナ。そう、シェイナ。私の、名前。博士……みんな、みんな、死んじゃった。博士は私を生かすために、私をロボットに改造して……」  悲しみ。その感情が彼女を支配したとき、一段と大きな爆発が起きてとうとう彼女は跡形も無く消し飛んでしまった。  プログラムではヒトの感情に耐えられない。ただ、それだけが原因だった。  怒り、苦しみ、恨みや絶望。それらを知らずにインストールし、最後に彼女は幸せと悲しみという2つの感情を自身に取り込んだところで、限界が来てしまったようだ。  唯一、最後に意思を持つ存在として残された彼女は、ヒトの感情を得て、生命と呼ぶに相応しい存在になった瞬間に絶命してしまった。  これにより、地球上には全ての命が消えてしまう。    美しかった地球はウイルスにより、生命の無い死の星へとその姿を変えてしまった。 ―完―
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