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アールドカリフの塔。
アールドカリフという国が栄えた理由はそこに突然現れた一つの塔によるものだった。
極めて高いその塔は、雲の上にまで達しているためにどれだけ高いのか知るものはいない。
そんな塔の中からは金銀財宝が見つかった。
見つかった物は金銀財宝にとどまらない。
世界に存在しないほど強力な武器や防具。
いままでの世界にはない用途の不明な道具や機械。
そして、何より凄いと思われた物は、人を襲う魔物の存在であった。
塔の性質は不明だが、階を進めると魔物はその強さを増すようになっている。
さらに階を進めると金銀財宝、武器や防具、不明な道具や機械の質や量が増えるのだ。
であれば、入るものの行動は一つ。
頑丈な装備に身を包み、より上を目指して進むことになるだろう。
そして、この塔の不気味なところは二人以上で同時に入っても塔の中では一人となる。
塔の専門家いわく、入る瞬間に空間が歪み、別の場所、別の時間へ飛ぶとのこと。
その専門家の話が本当か嘘かはわからないが、一度入った塔の中で冒険者と冒険者が会う事はほぼ0。
ごく稀に塔の中で別の冒険者と出会ったという話を街の酒場で酒のつまみに聞くこともあるが眉唾ものである。
時空や空間が変わっているのではないか、との理論がでたのは、何も適当ではない。
まず、入る度に地形が変わり、宝も魔物も復活していること。
昨日入った冒険者が、装備品や持って入った食料も含めて風化した状態で発見されたりすること。
他にもそれを裏付ける事象が多くあり、塔の専門家はその確率が非常に高いとの見解に至っている。
その塔は何で出来ているのかはわからない。傷すら付かない何かで出来ているため、分析ができないのだ。
稀に塔から何かが落ちてくるが、その全てはどういうわけか生きた冒険者達なのだ。
生きた、といっても、塔から落ちれば即死は免れない。
専門家の予想では塔にごく稀に付いている穴から、魔物に囲まれどうすることもできなくなって飛び降りているのだろうとの事だが、これも本当なのか何かの罠にはまってしまったのかは、いまだにわかっていない。
なにせ、その冒険者は言葉を解さぬ骸になってしまっているのだから。
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