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Hはゴクリと息を飲んだ。
「隊長!」
その時、事務官か叫んだ。
「排水経路の様子がおかしいです」
「ほら、きた」
「それから……基礎の部分に歪というのでしょうかおかしな波形を感じます」
「おかしな波形?」
僅かに反応しているモニターを覗いこんだKは首を傾げた。
「なんだこれ」
わたしも覗き込むと、ビリビリと痺れるような波形が現れていた。
「見た事のない波形だわ」
「要塞のどこかを攻撃しているのか……なんらかの刺激が加わっているのには間違いないな」
「ああ」
KとHは顔を見合わせた。
「隊長……やはり俺たちも出動させてください」
「……」
「今、行けば犬死するぞ」
「隊長!」
「そうならないために訓練や鍛錬を積んできたんです」
隊長は深く息を吐いて私を見た。
「T。お前さんはどう思うかね」
私は3人の顔をゆっくりと見回してゴクリと息を飲んだ。
「私は……私は、この部隊のこのメンバーで生きて帰って来たいと思っています」
「なんでだ」
苛立ったようにKが言った。
「なんで……なんでかしら? 意味なんて必要ないわ」
「……」
「私たちの存在自体に意味を用いるのがおかしいってことよ、私は……KとHと、普通にトレーニングして食事をしながらお酒をのみたいだけよ」
「ああ、そうかもな。俺も旨い酒と一緒に鶏肉でも食いてえよ」
「鶏肉っていい方、雑ね」
「ははは、Kらしいじゃないか。僕はカプレーゼなんかいいなぁ」
「そうね、いいじゃない? 乾杯しようじゃないの?」
私たちはフフフと笑い合うと、腰に装備した武器に手をやった。
「わかった。おれが責任をとる」
「隊長」
熱く冷たい部屋を出ることにしたのだ。
「いいか、くれぐれも無理をするんじゃないぞ」
「御意」
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