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「なんで笑ってる……?」
頭に血が上っているせいで少し乱暴に問いかけてしまう。
「異世界って、案外悪い場所じゃないんですよ?地球で言うところのファンタジー世界です」
「外国が怖いなんて言う小心者の俺がファンタジー世界を怖くないなんて言うわけ無いだろ」
「楽して生き残れるだけの力を上げます、所詮チートと言うやつです」
「……ほう?」
少し興味が湧いた。
元の世界では楽ではない仕事や残業に追われる日々を送っていた身だ、『楽して生き残れる』という言葉に凄く惹かれるのも仕方のないことだろう。
「今からあなたに転生してもらう世界には『ガチャ』という物が存在します」
「ガチャ?スマホゲームとかの?」
「はい。エスガルドで暮らす人々はガチャで武器を揃え、防具を揃え、時には食品でさえガチャで手に入れます」
自給自足が下手になりそうな世界だな。
「しかしこのガチャには地球で言うところのお金……『ルッツ』が必要でしてね。種類によっては1回ガチャをするのに日本円で100万はかかります」
「高っ!?」
「ルッツを手に入れるには魔物を倒したり、素直に働いたり……と色々な方法があります」
え、でもそれじゃあ結局……。
「働いたり魔物倒したりしないといけないのか?」
「はい、普通はそうです」
「元の世界より酷いじゃねぇか!」
魔物とか怖くて戦ってられないわ!
環境完全に悪化してるじゃん!?
「だから、あなたに楽して生き残れるだけの力を与えます」
「お、おう……本当か?」
「本当ですよ。英雄王に誓います」
「その英雄王っていうのがよくわかんないけどよろしく頼む。生き返ってまた退屈な人生を送るなんて俺は嫌だからな」
「安心してください。約束は守ります…天使ですから」
天使だからなんだと言うのか。
まぁ、今は目の前にいるこの女性の言う事を信じるしかない。
まずは『楽して生き残れるだけの力』というのはどのような物なのか、詳しく聞くことにした。
「えーと、俺に与えられる力ってどんなのなんです?」
「簡単に説明させて頂きますと…」
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