第二章【転生】

1/1
前へ
/7ページ
次へ

第二章【転生】

木が深々と生い茂る森の中。 死亡直前に体験したあの暑さを思わせるような暑さに目が覚めた。 「……ここは……?」 立ち上がり、周りを見回したが…誰もいない。 静まり返った森に響く小鳥達の声と、激しく脈打つ己の心音だけが命を感じさせる。 そして数秒の時が経つと気づく。 あの天使との会話と別れを。 ━━━━━━━ 「もう……力を手に入れた途端そんな乗り気になるなんていい性格してますね」 「そんなもんだよ、人間なんて」 天使の皮肉そうな物言いに苦笑して答える…本当に単純な生き物だよ人間は。 「ま、とりあえず送り込んであげますよ異世界に」 「何だその言い方は、何様だ」 「……あなたも随分と上から目線で物を言うようになりましたね。私は天使様です」 天使は世の中の貧乳達が見れば発狂するほどの胸を張りながら言った。 おい馬鹿やめろ、全世界の貧乳に謝れ! 「くだらない事考えてる暇があるなら今すぐ送っても大丈夫そうですね」 「え、ちょ……「それでは……行ってらっしゃい」覚悟とか色々あるだろぉぉぉお」 天使はいきなり俺の心を読むと異世界に今すぐ転生させようとし始めた。 俺の体の周りに光が集まりだんだんと視界がぼやけてくる。 意識が遠のく。 そして気を失う前、最後に見たのは天使の「してやった」という悪戯心丸出しの笑みであった。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加