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「そう言えば」
六人がこの船に連れて来られてから一体も目にしていない。
「定期的に船の掃除をしている人物がいるのか、または林と同じような殺害方法で殺されたか」
倫子は船内の遺体がどうやって処理されたのか考察を巡らせる。
「杜さん、黒山さん、クローゼットの中に隠れてばかりだと、ゲームが進みませんよ。観客の皆さんからブーイングが飛び交っております」
二人の行動はお見通しだとばかりに、アナウンスが流れる。
「観られてたの?」
黒山玲香は顔をしかめた。
「みたいね。でも会話までは聞き取られてないようだけど。黒山先生、殺人ギャンブルのルールだと恐らく主催者はまた、誰かいかれた奴を送り込んで来る筈よ。私が片っ端から殺すから、あなたは安全なところに逃げて」
「安全なところ?」
この船の中に安全な場所などあるのだろうかと、玲香は首を傾げた。
「トイレの中よ」
「どうして?」
「あそこだけは防犯カメラが設置されてないのよ。男子トイレの個室に逃げて」
建造物の殆どのトイレには、プライバシーの関係で防犯カメラが設置されていない。そこに隠れれば主催者は二人を見付けることが出来ない。監視社会の穴はトイレのみである。
男子トイレとしたのは、女子は女子トイレに入るのが常識だと誰もが思う。誰も男子トイレに入るとは思わない。
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