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「はぁはぁはぁ……」
空に架かる僅かに欠けた月。
消えかかり点滅する街路灯。
薄暗くすぐ先が闇の路地裏。
そこには左肩を押さえ、体の右側を壁にすらせて歩く学ラン服姿。押さえている左腕からは赤い雫が滴り落ちる。
「な、なんなんだよ……これ」
ここは日本の首都東京。まだアメリカのような銃社会になったなんて聞いた覚えはない。
それなのに……それなのに!
なんで肩を撃ち抜かれたんだ!?
暗闇の中からの銃声。瞬間的に激しく痛みだす左肩。どこから撃ってきたのかわからなかったが、激痛に耐えながらここまでなんとか逃げてきた……。
「痛っ!血が止まらない……早く病院行かなきゃ」
荒々しい呼吸をしたまま路地を進んでいたら。
「こんなところでどうしたんだい?」
「うわっ!!」
急に誰かに声をかけられた。
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