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双神琥白とかいてフタガミコハクと読みます。
3月の最終日に僕は我が家に再び足を踏み入れた。いや、それはもう僕の知っている我が家ではない。玄関は前よりも大きくなり、廊下は奥に長く、キッチンからリビングがよく見え、広々としたリビングにはなんかもう大画面のテレビがあり、何人掛けだよというくらいのソファーがあり、襖を挟んだ奥には和室がある。
普通の家だった双神家が、このままシェアハウスが出来そうなくらい豪華に生まれ変わったので、僕はいま、すごく興奮していた。明日から高校生になるのに恥ずかしい限りだが、僕は家の廊下、部屋の隅々を探検して回るくらいには興奮していた。
しかし、僕の好奇心に駆られた心はそう長くは続かなかった。1階を見回り、階段を上ろうとしたとき、僕は父と母に呼び止められたのだ。
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