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みんなで朝食を食べ、本題に入る。
「とりあえず、この箱の鍵を探して欲しいんだよね」
僕がそう言うと鍵についていくつか質問をされたが、今日初めて見た小箱なので当然僕にも分からず、手分をけして家捜しをすることになった。
リビングは僕とカズくん。物置は月乃青年と花塵さん。各自の部屋は暦ちゃんと白麗ちゃん。庭にある物置は(たぶんここにはないと思うが一応)澄心さんと小波くん。不満をぶちまけている月ヶ瀬女医は東雲さんと一緒に風呂場と書斎を調べることになった。
「広いな。」
ため息と共にカズくんが呟く。シンプルなレクリエーションにしてはかなりきつい。でも彼らと一緒にいても特にすることが無いのでちょうどよかった。
リビングにある棚を一つ一つ丁寧に調べていく。カズくんはキッチンを調べている。
沈黙がリビングを満たす。僕はその沈黙に耐えられず、ついカズくんに声をかけた。
「鍵くらいおいてて欲しいよね」
「…」
カズくんは無言で調べていた。無視されたのかとかなり傷つき、涙目で作業に戻ると、しばらくしてカズくんが返答してくれた。
「…これはきっかけでしょ。」
ただ、あまりにも大雑把過ぎてよくわからなかった。どういうことだろう。僕が話を促すとカズくんは言葉を探るように口を開いた。
「あの人たちが言う『ちょっとした事件』って…その…一つだとは言ってないよね。」
「うん」
「なら、これは誰かの『事件』を解決するきっかけ、だったりしないかな。…たぶん、この鍵があった場所が誰かの事件に関係して…って思ったんだけど、どう思う。」
カズくんは疑問文でさえも棒読みだった。なので一瞬、問われているのか分からなかった。
「…その考え、保留にさせて」
カズくんの意見がもし両親の目的と合っていたら、と仮定して考える。彼らが来たのは昨日だ。昨日来たばかりの人間にいきなり試練を出すとは考えられない。ということは今回の『試練』のターゲットは僕だ。
「わかった」
カズくんはそういうとまた作業に戻った。
「…君、もしかして頭いいの?」
何気なく話しかけると、カズくんは静かに否定した。
「…やっぱり覚えてないか。」
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