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真っ黒な目を東雲青年に向けて問い返す。東雲青年は絶えず笑みを浮かべているが、よく見ると目が全然笑っていない。
「教えてあげるよ少年、俺に知らないことはないし、俺に分からないことなんてないんだよ」
「じゃあどこに鍵があるか教えてよ。」
「分かってるだろ少年、答えは教えられないんだよ、これは君達が見つけるべきものなんだ」
「なにそれ。」
「過程が大事って事だろ?つまり」
月ヶ瀬女医が間に割ってはいる。庇ったという訳じゃなくてうんざりしたという感じだ。
「茶化してやるなよ東雲。ムウもいちいち乗らなくていいから」
東雲青年は自嘲しカズくんは鼻を鳴らした。
「でも、ヒントくらいは教えて欲しいなぁ」
僕が言うと東雲青年はにやけた顔のまま、顎で後ろを向くように僕らに指示をした。
振り返ると暦ちゃんと白麗ちゃんが階段から下りてくるところだった。二人は僕達に気付き、会釈をした。
「少年にヒント、各自の部屋に小箱の鍵はありません」
「…最初から言ってよ。徒労って事じゃんか…」
東雲青年は肩をすくめた。言動がいちいちうざいなこの人。
「徒労とはいえないだろ」
月ヶ瀬女医がちょっと嬉しそうに彼女達を見ている。
暦ちゃんと白麗ちゃんは打ち解けたように見える。
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