閑話休題そろそろ本題

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「…ふたがみさん」  暦ちゃんが小さく可愛い声で僕を呼んだ。大きくパッチリした黒い瞳が僕を見ている。少しどきどきしながら「どうしたの?」と小さく訊いた。 「くち、つけてません…すみませんが、たべてもらえませんか?」  皿には肉が綺麗に残っていた。  アレルギーというわけではないのだろう。初日に花塵さんが皆にアレルギーがあるかと訊いていたし、そもそも月ヶ瀬女医は暦ちゃんの主治医でもある。 「苦手なんだ?」  暦ちゃんがこくりと頷く。僕は残された肉をありがたくもらった。暦ちゃんにお礼を言われたが、お礼を言うのはどちらかといえば僕のほうだ。 「ふたがみさんは嫌いなものってなさそうですね」  食べ終わり、暦ちゃんがお盆に皿を載せながら訊いた。 「いや、そんなことないよ。僕だって食べれないものはあるよ。おにぎり食べれないし」 「おにぎり?」  暦ちゃんは驚いた顔をした。まだ食べていたカズくんもちらっと僕を見る。 「おにぎり全部食べれないんですか?」 「うん…茶碗のご飯は食べれるけど、握ったものは苦手かな。でも寿司は食べられるよ」 「なんだかかわってますね?」 「暦ちゃんもね」    そのあとも暦ちゃんと談笑をして時を過ごした。     
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