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イケメンのカズくんの隣は白髪の美少女だ。活発さと利発さを兼ね備えた正真正銘の美少女。明が童顔の可愛い女性だとしたら、彼女は美人に分類される女の子だ。ただ、高校生にしては身長が小さい気がするが…僕は彼女の発言を待ったが、彼女は口を固く閉ざしていた。
「…すみません。この子はあまり日本語が得意ではないのです」
彼女に寄り添うように立っていた眼鏡の気弱そうな青年が優しく言った。「日本語が得意じゃないってどういうこと?」僕が訊と、青年は唇を少し撫でて言葉を探した。彼のくせなのだろう。
「彼女の名前は朴白麗と言います。木にカタカナのトで朴。白麗は白く麗しいという字を書きます。…その、彼女はちょっと諸事情があり今年のはじめに中国から日本に渡ってきました。一応彼女も来週から赤森中学校に通うことになっています。…君の後輩ですね」
僕は視線を青年から移し、父と母を見つめた。けれど、彼らは僕の視線に答えようとはしなかった。心の中で舌打ちをしつつ、僕は青年を見た。
「…お兄さんは白麗ちゃんの身内の人?」
「いえ…あ、申し遅れましたね…僕は月乃秋人と申します。ツキノのツキは夜の月で、乃は乃至という言葉に使われるノです。アキトは秋の人と書きます。…名前から分かるとおり、僕は彼女と身内ではありませんが…まぁ保護者のようなものです」
困ったように優しく笑う。
この人は普通そうで、好感を持った。
「白麗ちゃん、月乃さん、よろしくね」
「よろしくお願いします」
「…よ、よろしく」
言い慣れないであろう言葉を白麗ちゃんが真似する。
ちらっと花塵さんを見ると物凄くとろけた顔で彼女を見ていた。
月乃青年に褒められた白麗ちゃんは嬉しそうで、この二人だけは守りたいと心のそこから思った。
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