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もじもじと言いにくそうだ。この子もかなりの美少女で、見ていると守ってあげたくなる。黒い髪をショートボブにし、赤い服を着ている姿はなんとなくトイレの花子さんを連想した。
「君の名前は?」とカズくんが口を開いた。女の子はびくっと震え、顔を真っ赤にして口をわなわなと動かした。
「…大丈夫ですか?」
月乃青年が心配そうに声をかける。女の子は月乃青年の腰のあたりの服に掴まり、泣きそうな顔で「ごめんなさいだいじょうぶです」というと顔を真っ赤にしながら名乗った。
「こよみは乱暦っていう…言います。ランは…み、乱れるという字で、コヨミはカレンダーの暦、です。来週からぱくさんと同じあかもり中学校に通います。たくさんたくさんご迷惑をかけます。ごめんなさい。がんばるので仲良くしてくれたらうれしいです。よろしくおねがいします」
「大丈夫だよ、僕たちはなにもしないから」
僕が暦ちゃんに目線をあわせ、優しく声をかけると、月乃青年のうしろに隠れてしまった。なにが怖かったのだろうか。少し傷ついた。
「…大丈夫ですよ。よく頑張りました」
月乃青年が優しく暦ちゃんの頭をなで、彼女を宥めさせる。月乃青年と目が合い、暦ちゃんに「よろしくね」と声をかけ、次の人を見た。
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