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「じゃあ、送ってくれてありがと。また明日、学校でね」
そう言って引き上げた真中の口角は、無理やり感がハンパなくて。
もう少し一緒にいてやろうか? って言葉が、思わず飛び出しかけた。
あんなショッキングでグロテスクなものを目の当たりにしたあとに、真中を家の中にたったひとりで置いておきたくない。
でも、口をつぐむ。
言わない。
だって、それはオレの役目じゃないから。
それは、真中の『先輩』の役目だ。
オレじゃない。
ただの友達でしかないオレにできることは。
「くだらない話とかしたくなったら、電話してこいよ。付き合ったるわ」
オレはそれだけ言って、鼻水をすすり、来た道を戻りはじめた。
「ばいばい、沢渡」
背中に投げかけられた言葉に、オレは振り返りもせずに手だけあげる。
うなずくことはしないけど、拒否もしないのが、真中の優しくて残酷なところだ。
オレが、泣きたいほど愛おしくて、たまらないところだ。
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