さよならセンチメンタル

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 本田が高架橋から飛んだ。  長いこと順延になっていた、航空祭の次の日だ。  学校からの帰り、わざわざバスで一時間ほどかけて、隣の隣の市にまで足を伸ばしたのは、この近辺には致死率の高い死に場所がなかったからか。  それとも、誰も自分を知らないところで死にたかったからか。  もう、その答えを聞くことはできない。  何かに悩んでいるようには見えなかった。  友達の恋愛相談を、「そんなの当たって砕けちゃえば」って笑って檄を飛ばすような女の子だった。 「悩むよりさっさと行動したほうがいい」が口癖だった。  ショートボブだったけど、夢の国に遊びに行く時には、必ずエクステを付けて行っていた。  腰には、いつもバービースクールのカーディガンを巻いていた。  サバサバしているようでいて、でも、女子でいることにけして手を抜かないでいる印象だった。  飛び降りた時、彼女はどんなだったのだろうと想像する。  両手を広げて、薄いグレーのカーディガンを風にはためかせて。  それは、まるで空を舞う鳥のようだったのではないだろうか。
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