さよならセンチメンタル

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「……お前さ、もちっとワガママとかになったら?」 「そんなことできるわけないじゃん。嫌われちゃうよ」  反抗する真中は、可愛らしく唇をとがらせた。  喉元まで出かかった言葉を、無理やり飲み込む。  食道と胸をキリキリ傷つけながら、それは落ちていく。  例えば、オレと真中が付き合っているとして。  死んでしまえとかレベルの無理難題じゃなければ、大抵のワガママなら笑って許してやれるのに。  学校から少し歩いたところに、ショッピングモールがある。  というか、そのショッピングモールくらいしか、この辺りには目立った建物がない。  一応デカい国道は通っているけど、電車は去年廃線になってしまったし、周りには畑ばかりしかない。  超ド田舎だ。  でも、ここに来れば、服屋も、本屋も、雑貨屋も、生鮮食品の店も、酒屋も、ファミレスも、パチンコ屋や、レンタルビデオショップもある。  必要な物は、とりあえず一通り揃えることができる。
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