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違うの。…あぁ…。
もう無理、勘弁して欲しいって思うのに。言葉にならない。それでいて身体だけは反応しちゃうから、みんなに悦んでると思われて…。
全然放してもらえない。
不意に落ち着いた声がはっきりと、でももの柔らかにかけられた。
「…すみません。あの、そろそろ。…夜さんも、早い時間から来てもうずっとですから。休憩取らせてあげた方がいいタイミングかと。…あまり会員さまのお身体に障るのは、ちょっと」
話し方で黒服の男の子だとわかる。彼らは目立たないように雑用をこなしつつ、さり気なくプレイに没頭する会員たちの様子を見回っていて、度を越しそうな時や女の子が嫌がっている時などはやんわりと角が立たないように介入してくれる。わたしの上に乗った人は息を切らし、身悶えしながら文句を言った。
「この状況でそんな…、途中で、なんて。無理だよ」
「はい、プレイの流れが途切れたところで結構です。それまでは彼女の様子に気をつけて、安全な範囲内でご存分に」
「萎えるなぁ…」
そう零しながら腰の激しい動きを全然止める気配もない。わたしの身体も既に抑制が効かない状態なので、箍が外れたみたいになる。
「あ、あぁ…っ、や、いく、いくぅ…っ…!」
「んっ、あ、夜ちゃん、可愛いよ…あぁ…」
わたしがびくん、びくんと跳ねるように終わるのを見届けて、上の男の人も何処か安堵したように小さく痙攣して呻き、ややあってぐったりともたれてきた。
「いき顔やっぱ可愛いなぁ…」
「夜ちゃん、あと一人くらいいけない?僕今しがた着いたばっかりで」
息を飲んで見守ってた男たちがざわつき出す。誰かが男の身体の下からわたしを引き出すように助け起こしてくれた。
「皆いい加減にしろって。もうこんなにふらふらしちゃって…、口も利けない状態で、可哀想だよ。なかなか失神もできなくて却ってきつかったね。俺たちもつい調子乗っちゃって」
「ササノくんは早くから来て夜ちゃんとたっぷりした後だからそんな余裕かまして」
不満げな声も聴こえる中、上体を支えられたわたしにそっとバスローブがかけられる。数人の手が優しくわたしを立たせ、誰かの腕に預けられた。肌に触れる布の感触からして多分黒服の一人だ。
「一人で支えられる?俺、休憩室まで抱っこして行こうか」
バックヤードの休憩室は実質男性会員立ち入り不可なので、黒服の子は穏便に断る。
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