第3章 囚われるかどうかは自分で決める

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『了解。間違いなく約束通り来てくれたら。そしたらちゃんと目の前で削除してあげるよ』 実際のところ、そいつが撮っていたのはその一枚だけじゃなかった。 待ち合わせ場所に時間通りに現れたわたしに、今あれを消して、とせがまれつつちゃんと現地に着いてからね、とはぐらかした彼は確かにその日全てが終わったあとに、全身どうしようもなく消耗してぐったりと身を横たえたわたしの目の前でその写真を削除した。他の何枚かの写真や動画が残されていたことは後日改めて知ることとなったが。 その日は以前に奴が言っていた通りわたしのお披露目、と称して、広々としたあのリビングに十人以上もの男たちが集められ(どういう訳か女の子は一人もいなかった)、服を脱いで椅子に掛けさせられ、背凭れの後ろで両手を縛られて肘掛けに脚を載せられ全部を晒しものにされた。居並ぶ男たちの目の前で、感じやすい場所にそれぞれ小さな振動する玩具を押しつけられ、刺激されて。 「…あっ、あ…ぁっ、ん、嫌…」 声が止まらない。自分でもどうしようもない。恥ずかしいのに、こんなの他人に見られたくないのに。我慢できず腰が弾んで…。 「…いやらしい子だな。あんなに拡げて見せて、悦んで…」 「誘ってんだな。ここにおっきいの欲しいの、てか」 卑猥な囁きが耳を打つようにがんがん響く。あぁ…、そんな、風に。 いやらしい目で。…見ないで…。 男たちは喉をあからさまに鳴らし、じりじりと顔を寄せて我勝ちにわたしの身体を眺め回した。 「すごいな。もう椅子こんな、びしょびしょ」 「欲しいんだろ?正直に言いなよ。…楽にしてあげるから。もう、いきたいよね?」 焦らすように伸びてきた手にそっと身体をなぞられ、わたしの口から勝手に思ってもいない言葉が飛び出す。 「あぁ…、お願い。もぉ…」 「何がお願い?ちゃんと言葉にしてみなよ」 誰かがリモコンを操作したらしく、バイブレータの振動が弱くなった。思えば責めるのに強めるんじゃなくて弱める、ってのが小賢しい。実に腹立つ。 でも、その時のわたしは手もなく身体をわななかせ、切なく懇願した。 「あ、…っ、お願い。もっと。…触って。いっぱい。…いろいろ、して。みんなで。…ここ、苛めて…」
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