第4章 わたしの身体はみんなのもの

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ひとしきり髪を撫でて、そっとベッドに横たわるようにわたしを促した。 「少し、こうやって眠ろうか。変なこと絶対しないって約束するから」 わたしは素直に再び横たわり、頷く。 「うん。…ごめんね」 目を閉じる。こんなセックスするためだけの場所で、何度もさせてる相手なのに。自分でも上手く説明出来ない訳のわからない理由でごねて拒んで、逆上されてもおかしくないシチュエーションなのに。 わたしの感情を尊重して、受け入れてくれた。そのことに対しての感謝の気持ちが湧き上がる。彼の腕がおずおずとわたしを引き寄せ、変なことしないから、と断りつつ緩く抱き抱えるのも、だから拒めない。強く目を閉じてただ辛抱する。 この人のしてくれた気遣いに較べたら。こんな風に触れられるくらい、何てこと…。 「…夜ちゃん。今度、二人で。…どっか、外で会わない?そういうのは駄目かな」 不意に沈黙を破って小さな声で問われて普通にびっくりする。思わず訊き返してしまった。 「え。…何で?」 「何でってこと、ないけど。…なんか、こういう場所じゃなくて。普通のところで普通に夜ちゃんと過ごしてみたい。いろんなとこ行ったり、ゆっくり落ち着いて話したり…」 わたしはしばし言葉の意味を噛みしめた。気のせいか、デートを申し込まれたみたいに思えるけど。付き合いたいとか。いやまさかそんな。 この人だってわたしが普段ここで、男たちに何させてるかちゃんと承知してる筈だ。自分だってその中でわたしと実際にしたこともある訳だし。そんな淫乱でビッチではしたない女、まともな相手として認識するわけ…。 それでも思い過ごしだよ、と笑い飛ばす気になれない。万が一向こうが本当にその気なら気楽にこんなの受ける訳にいかない。少し迷ったがどう思われてもいいや、と吹っ切って正直に言った。 「あの、でも。…わたしといてもしょうがないよ。つまんないし。話もあんまり弾まないと思うし、本当にセックスくらいしか取り柄のない奴だもん。…それに、そのセックスだって。多分わたし、二人きりでは出来そうもない。相手が誰かに関係なく」 彼の腕にぎゅっと力がこもった。
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