第3章 囚われるかどうかは自分で決める

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…いつでもいっぱい、何度でも、気絶するほどいかせてあげるからね。みんなで」 不貞腐れた態度で投げやりに会員になってもいい、とようやく認めたわたしの許に素早く呼び出しがかかった。例のクラスの男の子を介して。 彼と二人でいつものペントハウスに向かう。その子(もういい加減名前を思い出した。中野って子だった)はせかせかと速足で歩きながらわたしに冷静な口調で説明する。 「今日会う人は加賀谷さんって言うんだ。あの部屋のオーナーの甥御さんだよ。一応クラブの監督というか、管理みたいなことをしてくれてるんだけど」 「その人も会員なんですか」 ちょっと内心で怖気づく。やっぱり、新会員の女の子はその人に身体を検査されるとか。入会儀式みたいなことをされるのかもしれない。あんまり変なことをされるくらいなら、今からでも取り消したい。 中野の奴は肩を竦めた。 「いや、もうその人は学生じゃないから。とっくに社会人だよ。在学中はやっぱりメンバーだったみたいだけどね。今はコンピュータのプログラマーかSEみたいなことをしてるんじゃなかったかな。とにかくIT関連の技術職だったと思う。よくは知らないけど」 少しごたついた改札を抜ける。わたしを人混みから庇うように背中に手を添えた。知らない人が見たら恋人同士みたいに見えるのかな、とぼんやり思う。何と言っても会員同士は実態として肉体関係があるから、油断してるとどうしても自然と接触してしまうし互いの距離感も近くなりがちだ。 まぁ、どうでもいいけど。こいつの事情は知らないがわたしの方は誤解を受けて困ることなんか別にない。どうせ好きな相手もいないし。これからもそんなものが現れる気が全然しない。 駅を出て、閑静な落ち着いた住宅街を並んで歩きつつ彼は話し続けた。 「誰かが学生メンバーと部屋のオーナーの間を連携しなきゃいけないからね。あそこに顔を出すことは滅多にないんだけど、必要があって連絡すれば割に迅速に対応してくれるよ。そんな役割だから、もう既に会員とは言えないんじゃないかな。少なくとも俺はあの人がプレイに参加するのは見たことがないな」 だったら大丈夫かな。とちょっと安堵の色を見せたわたしの心の動きを察したらしくちらと横目でこちらを意味ありげに眺める。 「そうは言っても。もしかしたら最初に会員になる時は何かお試し的なプレイを要求されるかもだよ。
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