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世の中、イヤなことばかりじゃなけれど、こんな日は泣きたくなる。
五年付き合った彼氏にさっき振られて今は電車に揺られている。
車両は満員だけど、私は涙が抑えきれなくてボロボロと泣いていた。
「世の中、イヤなことばかり……」
つい、口に出た。
大体、なんだよ。こんないい女が泣いているのに誰も声をかけないなんて。
そう思っていたら、私の座る席の前に一人の男性老人が立った。
「あ。どうぞ」
私は咄嗟に席を立ち上がり老人に譲ろうとした。
男性老人は、ふるふると首を振る。
「そうじゃないのですよ。あなたに良いことが訪れるようにこれを渡したくてね」
男性老人は、鞄から小瓶を出した。
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