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キラキラと笑う君の髪の先が、四月の肌寒い風に揺れて光る。
どうしてだろう。
とても悲しくなって、私は涙をこぼした。
絶対に、泣かないでおこうって決めてたのに。
「あーあ……泣いちゃ……ダメなんだよ……かっこ悪いなぁ」
いいんだ。
この涙は小川に流れて、きっと桜の船が遠い君の所まで、届けてくれるんだから。
「これ見て」
君は、花の形のまま落ちた桜を口にくわえてる。
「おしりの穴」
きっと、泣いた私を笑わせようとしてるんだろう。
その優しさが、やっぱり悲しくって、私の涙はまたこぼれた。
「これは、どう?」
君は桜の花びらを、両目の下につけてる。
「桜色の涙」
そう言って、両目をあちこちに動かしておどける。
キーホルダーのパンダのように。
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