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僕の視線をなぞるように陽に焼けた長い指がノートの上に伸びた。
白いノートに書かれた僕の筆跡を瀬尾さんの指がなぞる。
それだけで、心が震えた。
震える吐息に気づかれませんように。
そう祈りながら僕は慎重に呼吸を繰り返す。
この人はもうすぐ僕の義理の兄になる。
心の中で何度も自分に言い聞かせる。
顔を上げると視線の先に薄い桜色の封筒が見えた。
あの中になにが入っているのか、僕は知っている。
彼がいない隙に勝手に開いて盗み見たことは、誰にも言えない。
……あの封筒の中身を、姉は知っているんだろうか。
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