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「行こう。」
僕は彼女の手を強引に引っ張った。
「ど、どこへですか?」
彼女は驚いた様子で問う。
「タイムホールがあるところまで。人間の時代に戻るんだ。」
「どうして……」
彼女は、未だに事態が飲み込めていない様だった。
「恐竜が絶滅した原因が、隕石から寄生虫にすり変わっている。過去が人間の手によって変わってしまったんだよ。親殺しのパラドックスが今まさに起きている。」
そして僕は、こう付け加えた。
「このままでは、人間の時代も危ない……人間が生まれないことになってしまう……」
僕は彼女の手を握り締めて、タイムホールへと向かった。
頼む、無事であってくれ、人間の時代……
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