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「どうぞ……」
コーヒーの入ったカップが目の前に置かれた。
いやこの状況でコーヒーを出されましても。
僕は落ち着かない状態で辺りを見回した。
壁一面に白い虫、恐らくサナダムシと思われる標本が飾ってあり、棚の上にはよく分からない生物のホルマリン漬けが並んでいる。
「さきほどは助けていただき、ありがとうございました。」
そう言うと彼女は、深々と頭を下げた。
僕は、恐竜に襲われそうになった彼女を、偶然見つけて助けたのだった。
「まあ、あの種類の恐竜は、小回りが効かないから、ちょっと岩陰に隠れれば……それより、ここは君の部屋?」
「は……はい……少し散らかってますけど……」
彼女は、少し恥ずかしそうにそう答えた。
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