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「学校は?」
「まだ授業じゃないし、それよりお前こそ、今から学校か? もう終わりだぞ」
「病院よ」
「あぁ、病院ね。俺も行こうかな」
「え?」
「風邪っぽくてさ」
踵を返し、未来の横に並んで来た道を戻る。
のんびりと輝く川と満開の桜並木に足を踏み入れた。
「もうどれ位?」
「忘れちゃった」
はらはらと舞う花弁が、未来の髪を滑り、肩に落ちた。
指折り数えるその手が白くて、花弁より美しく見える。
にっこりと笑う表情は、初めて見ればイチコロかも知れない。
長い付き合いだからこそ慣れたけど。
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