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「海大君は? もう行ってないの?」
「今から行くよ?」
「風邪でなんでしょう?」
「どうせ風邪じゃないよ」
何枚目かの花弁が未来の髪を撫で落ちた時、目的地の “病院” へ辿り着いた。
ついさっきまでいた学校のすぐ隣、真っ白な建物に唯一の扉があり、それが人の入れる建物だと気付かせてくれる。
受付なんて無い。
ただただ白い壁が続く無機質な部屋。
人が入ったことだけを知らせる赤いランプが回り、白衣を着た大人達が色んなところから出てくる。
「あら海大、やっとやる気になったの?」
「いや、風邪みたいだから、未来のついでに見てもらおうかと」
「風邪なんて引かないくせに」
白衣の大人達に混ざる背の小さな大人はそう言って笑った。
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