第1話 acceleration:加速

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第1話 acceleration:加速

???「起きなさい!もう7時よ!アンタ、私が起こしに来なきゃいったいいつまで寝てるつもりよ!」 裕翔「アハハ、悪い悪い。おはよう夏海。」 夏海「おはよう。ホラ、もう朝ごはん出来てるから早く着替えて。早くしないと朝ごはん下げちゃうから。」 裕翔「分かった。おい夏海、朝飯ゼッテー下げんなよ?」 夏海「フリ?」 裕翔「フリじゃねーよ!」 夏海「分かったから着替えなさい。ホラ!早く!ナウ!」 裕翔「はいはい、わーったよ。」 俺の名前は秋音裕翔。梅郷中の中学2年生だ。 幼稚園の頃に工事現場の落下事故で親を失って、児童養護施設に引き取られた所を、夏海の優しさあって、今はこうして同居させてもらっている。因みに両親は海外出張が多く、いつもは家に二人きりだ。 そして清水夏海。俺と同じく梅郷中の中学2年生。 親を失っていつも泣いていた俺を迎え入れようと言ってくれた張本人だ。 学校では、黒雪姫先輩という学校いち美人の生徒会長が居るのだが、夏海はその人に次ぐナンバー2の美貌を誇る美人だ。 顔立ちはもちろん、スタイルもよく、成績優秀で、まさに理想の女性である、俺の自慢の幼なじみだ。 でも時々・・・ 自分なんかが同じ場所に立っていて良いのかと思ってしまう事がある。 裕翔「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ~・・・。」 夏海「どうしたの急に?そんな長いため息ついて。」 裕翔「いや、今日ってテスト返しだろ?色々と憂鬱(ゆううつ)だなぁと思いまして。」 夏海「テスト?あぁ、そういえばそうだったわね。でも、あんなの日頃から勉強すれば簡単じゃない?」 裕翔「さすが、成績優秀な優等生が言うことは違うなぁ・・・。」 夏海「アンタが日頃から勉強してないだけでしょ?」 裕翔「しても無理なんだよ。はぁ、お前がいる場所、高過ぎるよ・・・。」 夏海「・・・っ!裕翔・・・!」 裕翔「・・・さっ、さっさと支度して学校行こうぜ!早くしないと遅刻するぞ!」 夏海「そうね・・・。」 俺は、今の自分が嫌いだ。昔から何をするにもずっと一緒だったハズなのに、いつの間にか見えなくなるほどにつきはなされてて、夏海の隣に立ち続けるという目標を失った、俺が。 ガラガラ・・・ 達人「おっ、きたな!おはよー、ゆう。」 裕翔「おうたつ、おはよー。」 山野達人(たつひと)、俺がこの学校に入学してから
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