第3 妻

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面白いこと言ったつもりはないんだけど… 《我はフォンセ・シャッテン。 この世界の魔王をしている。 気軽にフォンと呼べ》 「フォン、さん…」 《………まあ、良いだろう》 最初の沈黙はなんだ沈黙は! 《とりあえず、風呂入るか》 「えっ、お風呂ですか?」 《ああ。 奴隷商売で汚れているだろう》 そういえばそうだ。 あんな汚いところにいたのだから、汚れているはずだ。 なのにベッドに入ってよかったのか? 《ほら、おいで》 …なんか猫みたいな扱いだけど今は気にしないで置こう。 そのまま、フォンさんにしたがってベッドから這い出る。 そういえば、何でフォンさんはオレを買ったんだろう… …気になる。 聞いてみようか? でも、オレは奴隷だし… 《どうした?》 「い、いえ…何でもないです…」 《本当にか?》 …やっぱり聞いてみよう。 ずっとモヤモヤするのは嫌だ。 「あのっ、どうしてオレを、買ったんですか?」 フォンさんは、 なんだそんなことか、みたいな顔をして、 《妻にするためだが?》 と真顔で言った。 「つ、妻!?」 《言ってなかったか?》 そんなの聞いてない。 「い、言われてません!」 《そうか。まあ、今言ったからいいだろう》 妻って…オレ男だぞ? 「あのー、オレこんな顔ですけど、れっきとした男ですよ?」     
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