第3 妻

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第3 妻

《…ぃ、…きろ、》 「んっ…」 誰だろう… 呼ばれ、てる? おきなきゃ… でも、まだ眠たい… 《おきろ》 「っっ!」 その男の声で、オレの意識は一気に覚醒した。 「ぁ…」 《おはよう》 「お、おはようございます…」 目の前に魔王の顔が広がっていた。 起き上がろうとすると、身動きが取れないことに気づ く。 見ると、魔王の腕がオレの腰をがっちりとホールドし ていた。 「あ、あの…腕、どけてもらえないでしょうか?」 《何故?》 またこの顔。 昨日もオレに見せた、少し悲しそうな顔。 「えっと…動けないから、です」 《……》 何故か不服そうだけど、こればっかりは仕方がない。 …というか、オレ奴隷だよな? 何でこんな良い扱い(良い扱いかどうかわからないけ ど)されているんだろう? 《そういえば、名前聞いていなかったな》 「名前…ですか」 奴隷なのに名前なんて必要なんだろうか。 まあ、従うけど。 「紫苑です。高原紫苑」 《シオンか… 良い名だな。 お前に似合っている》 「ありがとう、ございます…」 そんなこと言われたのは、初めてだ。 今までずっと女みたいって言われてきたからな? 「…貴方は?」 《…?》 「貴方のことは、なんて呼べば良いんですか?」 《!…やはりお前は面白いな》     
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