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大学は当然のごとく建築学科に進学した。
建築学科は女性が少ない学科だったが、そこで香苗と知り合った。
香苗は高校の時に酷い彼氏に傷つけられて、少し人間不振になっていて、ぼくはそこにつけこんだ。
見た目はほとんど男に作り上げたぼくの事を、香苗も好きになってくれて、なりふり構わず、ぼくたちは恋人として付き合った。
しかし、世界の先進国でも、まだ差別はあるのに、この日本のお堅い国中では尚更、理解をしてくれる人は少なかった。
日々あからさまに受ける中傷や嫌がらせ…
香苗から笑顔を奪い、その結果香苗は大学を辞めてしまった。
その後、普通に結婚して幸せにしてると、噂では聞いたけど、ぼくの気持ちは晴れなかった。
とても、深く傷つけてしまった事を。
救いだったのは、彼女は男性が嫌いになったわけじゃないことだった。
普通に男性と結婚できるんだ。
そこだけは本当に良かったと思った。
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